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ハンカチの君
第22章 ハンカチの君
しかし、教室に戻るとクラスの人気者の学級委員の男の子が話しかけてきた。
「清一郎くん、未羽ちゃんにハンカチ貸そうとしたんだって?」
未羽が誰かわからなかったが、ハンカチを忘れたと言っていた女の子だろうと思い頷いた。

「それはダメだよ。あんなに可愛い子が、君みたいなブサ面からハンカチを借りると思ったの?」
「…見た目は関係ないんじゃない?」
「関係大有りだよ。いいかい?世の中の人間の大半はブサイクやデブの持ち物を借りたくないし、触りたくないんだ。」
「…そんなこと。」
「ないと思うかい?なら君のハンカチをその辺に落としてみるといいよ。拾う人はいないよ。
その女の子のキャラクターのハンカチも気持ち悪いからね。
中学生にもなってアニメのキャラクターのハンカチを堂々使ってるのなんて君くらいじゃない?」
学級委員はそういうと、清一郎のハンカチを廊下に投げた。

清一郎はハンカチを取りに廊下に出た。
学級委員の言う通り誰一人として、清一郎のハンカチを拾おうとはしていなかった。

隣のクラスは移動教室だったようで、たくさんの生徒が廊下に出ていたが、ハンカチを避けるように歩いていた。

清一郎は人の波が引いてからゆっくりとハンカチを拾い上げた。

そのまま席に戻ると、学級委員はそれ見たことかという表情で清一郎を見ると席に戻った。

清一郎はこの時、初めて他人に自分は受け入れられないほどの見た目をしているのだと悟った。

高校には行かなかった。
無関心な両親は特に何も言わなかった。

両親が交通事故で亡くなったと聞いても何も思わなかった。

ただ莫大な遺産を手にしてたので働く必要もなかった。
家に引きこもって、好きなアニメを見る毎日だった。

家政婦は両親が亡くなってから来なくなった。
食事はデリバリーで頼んだ。
掃除だけは月に一度業者に頼んだが、その間は漫画喫茶に行って時間を潰した。

その日も漫画喫茶に行く予定だった。

清一郎にはクセがあった。
あの時、誰にも拾ってもらえなかったハンカチを道端にわざと落とすこと。
そして、帰りにそれを拾って帰ることに。

そうすることであの日のことを思い出して、人との関わりを持たない方がいいと自分に言い聞かせていた。

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