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第6章 山本美智子の場合

山本美智子は、幸せな人生を送ってきた。

特に不自由することもなく欲しいものは何でも手に入り、大学を卒業した。

就職して一年目で高校生の頃から付き合っていた初めての彼氏と結婚した。
すぐに子供が生まれた。

旦那は子育てにも協力的で、稼ぎもよく、美智子にいつも優しかった。

しかし、2人目の子供の妊娠が分かると、旦那との夜の行為は無くなった。
美智子は性欲が溜まると自分で慰めていた。

欲求不満が顔に出ていたのか、旦那の勧めで知人のアパートの管理人として働くことになった。

久々に働くのは思ったよりも息抜きになって、楽しかった。

アパートの住人も美智子に優しくて、働きがいのある仕事だった。

住人の中でも、気になる人がいた。
それが悠馬だった。

悠馬はいつも違う女をアパートに連れ込んでいた。
露出度の高い服を着た子が多く、遊び人で、彼女がコロコロ変わっているのだと思った。

しかし、圭子がアパートに来るようになるとすぐにわかった。
今までの子は遊びで、圭子が本命なのだと。

圭子は今までの子とは違い、いつも野暮ったい服を着ているが、美人で、今時珍しい真っ黒な髪もサラサラのストレートでよく似合っていた。
胸も大きく、スタイルもいい。
背の高い悠馬と並んでも見劣りすることなく、背筋をいつも伸ばしていて、モデルのようだった。

美智子が話しかけてもいつも感じも良かった。

しかし、悠馬が露出度の高い服を着た女の子を連れ込むことは圭子と付き合うようになっても終わることはなかった。

本命は圭子で、後は遊びなのだと美智子は理解した。
圭子はこのことを知っているのだろうか？
あんなに綺麗な子が浮気されてると知ったらどうするのだろうか。別れるのだろうか。

旦那しか知らない美智子には分からなかった。
そして、ちょうどいいと思った。