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ハンカチの君
第2章 出会い
イタリア料理店は、外観だけでなく内装もお洒落だった。
悠馬に手を引かれて入ると、スタッフが席まで案内してくれて、椅子を引いてくれた。

圭子は、丁寧接客をする店に入ったことがなかったので、冷や汗をかきながら、席に着くとすぐにメニュー表を見て金額を確かめた。
圭子はメニュー表を見て、想像よりはリーズナブルだったので少しだけ安心した。

しかし常に金欠の圭子には一円だって惜しかった。
なので、黒色の用紙に金色の文字で書かれたお洒落だが読みにくいメニュー表を隅々までチェックして、一番安いペペロンチーノを頼んだ。

圭子の実家はスポーツ用品店の自営業をしている。
圭子が小さい頃はそれなりに儲かっていたようで、小学生の時に海外旅行に連れて行ってもらったのが唯一の自慢だった。

しかし、田舎だった圭子の実家の近くは開発が進み、次々と大きな建物ができた。
ショッピングモールの中に大手スポーツ用品店が出店するとすぐに、圭子の両親が経営する店に客は来なくなった。

不幸なことは重なるもので、圭子の父親はガンになった。
不幸中の幸い、ガンは初期だったため治った。
しかし、保険に入っていなかった父親は莫大な借金を抱えた。

母親がパートに出て毎月数十万を借金返済に充てる状況で、圭子は大学に行きたいなどと言えなかったし、言うつもりもなかった。

しかし、お節介な親戚が受験だけでもしなさいと受験代を払ってくれたため、いくつか受験した。

結果は全て合格だった。
担任の先生が圭子のことを思い、奨学金の話を両親に伝えてくれた。
その結果、圭子は一番学費の負担が少ない地方の国立大学に入学することになった。

しかし、国立大学と言っても、実家から通えない県の国立大学のため、一人暮らしの費用もかかる。
教科書代だっている。

そして、圭子のためにと大学に行かせてくれている両親に少しでも仕送りをしたかった。

圭子は少しでも余ったらすぐに実家に仕送りをした。
だから圭子は常にお金がなかった。
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