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ハンカチの君
第10章 終わらない一日
汚れた食器を片付けて、床を雑巾で綺麗に拭く。

悠馬はソファーに座ってテレビを見ながら、スマホのアプリでまたゲームをしているようだった。

圭子はカウンターキッチンから悠馬を瞳の端に映しながら、残りの洗い物をしていた。

涙で目が霞んで腕で拭うと、泡が目に入り込み痛かった。
でもそれ以上に心が痛かった。

どうして自分がこんな目にあっているのか、あの時悠馬に誘われた食事に行かなければこんなことにならなかったのか。

過去を振り返ったところで今が変わるわけではないのに、そんな事ばかり考えてしまい、涙が止まることはなかった。

洗い物を終えると、浴槽を掃除して、お湯張りボタンを押す。
圭子がいつも浸からせてもらえないお風呂のお湯が溜まっていくのを見なていた。

お湯の中に沈み込めば死ぬことができるのだろうか。
圭子は浴槽の縁に顎を乗せて、溜まっていくお湯の中に指をつけてぼうっとしていた。

「…何してるの?」
突然の悠馬の声に体が反射的に震えた。
指を親から引き抜いて、悠馬の方を振りむいた。
どんな表情をしているのか知るのが怖くて、胸のあたりを見つめた。
「あ…お湯の温度を確認してたの。」
「ふ〜ん。たまには浸かる?いつも浸かってないし?」
悠馬は意地悪で自分勝手だ。
いつも圭子が浸かる前に湯船の栓を抜いてしまうから浸かれないだけであるし、今日は鞭で叩かれた部分がヒリヒリして、とても湯船に浸かれるような体じゃない。

「ううん。今日はお湯に浸かる気分でないから、辞めておく。」
圭子は悠馬に媚をうるように、無理やり作った笑みを浮かべた。

「…あっそ。」
悠馬は浴室に入ると、椅子に座った。
圭子は付けていた薄手のエプロンを取ると、浴室の外の隅に置いた。

圭子はいつものように手を使って悠馬の頭と体を洗った。

体の鞭で叩かれた傷跡にシャワーの水飛沫や泡が付くと痛かった。

悠馬が湯船に浸かると、傷跡には極力触らないようにして、体を洗った。
それでも完全に避けるのは難しかった。
シャワーで体を流す時は、あまりの痛みに顔を歪めて歯を食いしばった。

悠馬は湯船に浸かりながら、圭子をただ見ていた。
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