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第11章 デート

圭子が朝になり目を覚ますと、悠馬はもう寝室にはいなかった。

寝坊したかもしれないとスマホに映し出された時刻をみると、まだ朝の7時半だった。

学校がない時は、悠馬はいつも昼過ぎまで寝ていた。
なので安心していたが、もう起きているのなら朝食を作った方がいいのだろうかと考えた。
圭子はベットから立ち上がると、寝室のタンスの中から圭子用の下着とマキシ丈のカーキー色のワンピースを取り出して身につけてリビングの扉を開けた。

悠馬はソファーに座っていて、スマホを触りながらコーヒー片手に持っていた。
圭子の記憶には昨日の悠馬が色濃く残っていたので、咄嗟に敬語で
怯えながら謝罪した。

「申し訳ありません。すぐに朝食を作りますね。」
「…敬語はもういい。朝はもう食べた。圭子も食べるなら俺の残りがフライパンに残ってるから食べれば？」
「あ…えっと、ありがとう。」
圭子は想定したものとは全く違う返答に戸惑いながらカウンターキッチンに向かった。

フライパンにはベーコンの上に卵焼きが1つと、ウィンナー3つ焼かれたまま置いてあった。

てっきり食べさしだと思っていたが、悠馬が圭子のために作ってくれたようで驚いた。
食器棚からお皿を取り出して、目玉焼きとウィンナーを載せた。

フライパンの横に置いてあったヤカンの中には、悠馬がコーヒーを飲むためにお湯を沸かしたようで、まだ煙が立っていた。
圭子もインスタントコーヒーの粉をコップに入れると、お湯を注いだ。

ダイニングテーブルにそれらを並べて食べていると何だか少しだけ気持ちが穏やかになった。

圭子は食べ終わると自分の食べた食器をシンクに置いて、置きっぱなしになっていた悠馬が使ったと思われる食器とフライパンも綺麗に洗い、布巾で水気を取った後に棚に戻した。

この後どうしたらいいか悩んだが、悠馬の機嫌が良さそうなので、悠馬の隣に腰をかけた。

悠馬はテレビをつけていたが、スマホを見ていたのでテレビは見ていないようだった。
テレビはニュース番組が映っていた。