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ハンカチの君
第11章 デート
コメンテーターらしき人物が少子化について話していた。
それをぼんやりと眺めていると、悠馬は圭子に視線を向けた。

「あと30分で出かけるぞ。用意しなくていいのか?」
「…え?」
圭子は悠馬を見たが、悠馬はスマホの画面を見ながらもう一度圭子に話しかけた。

「出かけるって言ったろ?」
圭子はひどく曖昧な記憶ではあったが、眠る寸前の朦朧としていた時に夢なのか現実なのかわからないが、出かけると言われた気がしてきた。

「あ、ごめん。寝ぼけてたみたい。急いで準備するね。」
圭子はソファーから立ち上がると、玄関に向かった。

玄関には昨日着ていた服と鞄が置いてあったので、それらを手に持つと寝室に戻った。
鞄の中からポーチを取り出して化粧をした。

寝室に置いてある大きな鏡で自身の格好を見た。
真っ黒な黒髪ストレートは悠馬に言われて前髪を伸ばしていた。
透き通るような白い肌に軽くパウダーを付けて、長い睫毛に軽くマスカラをつけてビューラーであげる。
ピンクベージュのアイシャドウを塗って、口紅を塗ると20代後半に見える。

適当に選んだカーキー色のワンピースは大人っぽいデザインで、悠馬と歩くと美男美女のお似合いのカップルに見えるだろう。

圭子は本当はジーンズにシャツを合わせるようなカジュアルな服装が好きだった。

けれど悠馬が圭子に与える服は大人っぽく、化粧もそれに合わせて大人っぽくなっていた。

この格好なら問題がないだろう。
茶色いショルダーバックを持って、リビングに戻った。

悠馬も支度を終えたようで、黒色のパンツにグレーのシャツを着ていた。

大学に行く時は髪の毛を無造作に下ろしているだけなのだが、今日は気合を入れてお洒落をしたのか、ワックスで髪の毛を後ろに撫で付け、おでこを出していた。

普段から整った容姿をしているが、今日は一段と輝いて見えた。
一緒に歩くのを躊躇するほどで、圭子は思わず頬を引きつらせた。

目ざとい悠馬は圭子の表情に眉根を寄せた。
「ん〜だよ?」
「あ、えっと、今日は一段とカッコいいなって思って。」
「俺がかっこいいのは当たり前だ。…まぁ、お前も今日はだいぶマシなんじゃね?」
悠馬は圭子の上から下を見て悠馬なりに精一杯褒めた。
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