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ハンカチの君
第11章 デート
悠馬の好みのものしか身につけていないのだから、それこそ当たり前だと思った。
だけど、褒められて嬉しそうに笑った。
「ありがとう。」
「ん、出かけるぞ。」
悠馬はそう言うと玄関の方まで歩いて行ったので、圭子はその後ろを歩いた。

悠馬と出かけるのは、大学の授業の帰り道に悠馬の買い物や用事に付き合って出かけただけで、朝から出かけるのは初めてだった。

悠馬の真っ赤なスポーツカーに乗り込むとなんだか緊張してきた。

「今日はどこ行くの?」
「ショッピングモール。」
「そっか…何買うの?」
「合宿の服とかパジャマとか下着とか。」
「合宿用に新しく買うんだね。」
「あぁ、お前のもな。」
「え!?私のはいいよ。悠馬が買っておいてくれた服でまだ着てないのあるし。」
「俺の彼女として合宿に参加するんだぞ?それ用のがいるだろ。」
「え、でも私お金本当にない…。」
「それくらいなら買ってやる。」
「あ…ありがとう。」
圭子はお礼を言ったが、不安で仕方がなかった。
いつもプレゼントをくれる時は何かしらの奉仕をさせられることが多かった。
昨日鞭で打たれた傷痕がまだ痛く、痕も残っていた。
もっと痛いことをされたらどうしようかと気分が沈んだ。

圭子が足元を無意識に見つめていると、いつのまにかショッピングモールについていたようで、車のバックする音が聞こえた。

悠馬は車を駐車するとすぐに車から降りたので、圭子も車から降りて悠馬の後ろをついて歩いた。

このショッピングモールに来るのは圭子は初めてで、どこに何があるのか分からなかった。
悠馬は来ることに慣れていたのか、迷うことなく歩いて行き一軒のお店に入った。

そこは水着専門店のようで悠馬は紺色と白色のボーダー柄の水着を買い物カゴに入れると、女性用の水着コーナーに足を踏み入れた。

圭子は布面積の少ない女性用の水着を吟味している悠馬に恐る恐る声をかけた。
「ねぇ、どうして水着を買うの?フットサルの合宿でしょ?」
「1日目はフットサルで、2日目が海で夕方に帰るってしおりに書いてあっただろ?」
「しおりなんてもらってないよ!!」
悠馬は圭子の言葉を無視して、水着を3着カゴに入れると、圭子を水着と一緒に試着室に押し込めた。
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