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ハンカチの君
第13章 料亭

「清一郎さんはご両親と今でもこのお店に来るのですか?」
「あぁ、言ってなかったね。僕の両親は亡くなってるんだ。」
「…ごめんなさい。」
「気にしないで。両親のことはなんとも思ってないから。亡くなった時も他人事のようだったし。」
「…そうなんですか?」
「うん。僕の父親も収入があったから働いてなかったんだ。そのくせ母親といつも部屋にこもっていたから、亡くなるまで両親に会うことはほとんどなかった。同じ家に住んでるのにね。家政婦に育てられたみたいなもんだったから。このお店に連れて来てくれたのは奇跡だったね。」
圭子は言葉に詰まった。
お金があるのに、清一郎は少しも幸せな人生ではなさそうだった。
圭子が黙っていると、清一郎は話題を変えた。
「そうだ。これ約束のピルだよ。」
清一郎は鞄からピルを取り出すと圭子に渡した。
「ありがとうございます。」
「飲み方は分かるかい?」
圭子は素直に首を振った。
お金がないのでピルを飲もうと考えたことなどなかったので、飲み方を知らなかった。
「生理はいつ来たの?」
清一郎の質問に急に恥ずかしくなって、指を机の下でもじもじと動かした。
「…今日です。」
「なら、ちょうどよかった。今日から飲み始めて。それで極力毎日同じ時間に飲むんだ。」
「分かりました。」
圭子は納得すると、ピルを一粒取り出してすぐに飲んだ。
味は特になかったが、安心感があった。
「今日生理が来たってことは、一週間はお店に来れないね。寂しいな。」
「あ!ごめんなさい。…それが、サークルの合宿と重なっていて、10日は出れないんです。」
「10日もか。それは寂しいな。合宿か〜。僕は大学も高校も行ったことないから楽しそうで羨ましいよ。楽しんできてね。」
「…。」
圭子は言葉に詰まった。
すると清一郎が首を傾げた。
「どうしたの?行きたくなさそうな顔をしてるね。」
「…本当は行きたくないんです。サークルに入ってないですし。お金もかかるので。でも…彼氏が参加しないと怒るので。」
「そっか、彼氏とまだ続いてるんだね。…そうだ!!圭子ちゃんの傷痕が痛そうだったから、これ傷の治りが早くなる塗り薬なんだけどよかったらもらってくれないかな?」
清一郎は鞄からピンク色の蓋の円柱型の容器を取り出した。
「あぁ、言ってなかったね。僕の両親は亡くなってるんだ。」
「…ごめんなさい。」
「気にしないで。両親のことはなんとも思ってないから。亡くなった時も他人事のようだったし。」
「…そうなんですか?」
「うん。僕の父親も収入があったから働いてなかったんだ。そのくせ母親といつも部屋にこもっていたから、亡くなるまで両親に会うことはほとんどなかった。同じ家に住んでるのにね。家政婦に育てられたみたいなもんだったから。このお店に連れて来てくれたのは奇跡だったね。」
圭子は言葉に詰まった。
お金があるのに、清一郎は少しも幸せな人生ではなさそうだった。
圭子が黙っていると、清一郎は話題を変えた。
「そうだ。これ約束のピルだよ。」
清一郎は鞄からピルを取り出すと圭子に渡した。
「ありがとうございます。」
「飲み方は分かるかい?」
圭子は素直に首を振った。
お金がないのでピルを飲もうと考えたことなどなかったので、飲み方を知らなかった。
「生理はいつ来たの?」
清一郎の質問に急に恥ずかしくなって、指を机の下でもじもじと動かした。
「…今日です。」
「なら、ちょうどよかった。今日から飲み始めて。それで極力毎日同じ時間に飲むんだ。」
「分かりました。」
圭子は納得すると、ピルを一粒取り出してすぐに飲んだ。
味は特になかったが、安心感があった。
「今日生理が来たってことは、一週間はお店に来れないね。寂しいな。」
「あ!ごめんなさい。…それが、サークルの合宿と重なっていて、10日は出れないんです。」
「10日もか。それは寂しいな。合宿か〜。僕は大学も高校も行ったことないから楽しそうで羨ましいよ。楽しんできてね。」
「…。」
圭子は言葉に詰まった。
すると清一郎が首を傾げた。
「どうしたの?行きたくなさそうな顔をしてるね。」
「…本当は行きたくないんです。サークルに入ってないですし。お金もかかるので。でも…彼氏が参加しないと怒るので。」
「そっか、彼氏とまだ続いてるんだね。…そうだ!!圭子ちゃんの傷痕が痛そうだったから、これ傷の治りが早くなる塗り薬なんだけどよかったらもらってくれないかな?」
清一郎は鞄からピンク色の蓋の円柱型の容器を取り出した。

