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第14章 合宿

ベンチに座ってノートに何かを書き込んでいる美玲を見つけると話しかけた。

「美玲さん、何か手伝うことはないですか？」
「…見てわからない？私忙しいんだけど。仕事なら自分で見つけて。」
美玲はノートから目をそらすことなく辛辣な声を出した。

美玲の隣に座っていた女性達からも冷たい視線を感じた。
「あら？圭子さんはその胸で男を誘惑するのに忙しいのではないの？早く男達のところに行った方がいいのでは〜？」
「皆の今日のおかずになりますって？いや〜淫乱。私には真似できないわ〜。頑張ってね！！」

圭子は想像していたよりもずっとサークルの女性達に嫌われていることを知ってショックを受けた。
新入生歓迎会の時に一緒に参加した子や、その時良くしてくれた先輩達も圭子を敵対視しているようだった。

泣きたくなったが、ここで泣くとまた男に媚びるためにわざと泣いたと言われることはわかっていたので、必死に涙を抑えた。

「あ、えっと、なら私は向こうで草むしりでもしてきます。」
圭子が走り去ろうとすると、美玲が急に優しい声で引き止めた。

「待って！やることがないなら、タオルの洗濯お願いできない？」
「…あ、はい。やります。」
圭子は美玲から、汚れたタオルを受け取った。

「お水は後輩に樽に入れて持ってくるように言ったから、あっちの方で待ってて。」
圭子は美玲に言われた通りの場所で汚れたタオルの入った箱を持っていた。
するとそこに大きなバケツを胸のあたりに抱えて、フラフラと歩いてくる三つ編み姿の女の子が目に入った。

女の子はバケツで前が見えていないのか、足元の石に躓いてこけた。
バケツが弧を描いて圭子の目の前に落ちた。
圭子はバケツにこそ当たらなかったが、汚れたタオルと共に水浸しになってしまった。

「こ、ごめんなさい〜。」
三つ編みの女の子が走って圭子に謝りに来た。

「あ、大丈夫。ぶつかってないから気にしないで。」
圭子はそう言うとタオルの入った箱を置いて立ち上がった。

全身濡れてしまったので着替えようと思ったからだ。
しかし、女性陣が固まる座席の前を通り過ぎると、美玲から冷ややかな声がかかった。