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飼い殺しの犬
第1章 飼い殺しの犬
さわさわと、風に靡いて木葉が擦れる。
闇夜のしじまに不気味な程響き渡り、渦巻いて僕を一層絶望に陥れる。
「むしゃくしゃしてたしな。柚希でいいから一発抜いとくかって思ってよ……部屋入ったら……」
微動だにしない柚希。
裸体を曝け出したまま……開ききった、瞳孔──
「打ち過ぎたんだろうな、急性中毒ってヤツだ」
……そんな。
僕が、ビールを買ってくる間に
たった、四、五十分の間に
そんな、事が──
「ああ、クソ。モヤモヤが収まんねぇ。……死体でもいいから一発ヌいとくんだったな」
先輩が、不穏な発言を漏らす。
男。そして、柚希。
二つの遺体を穴に埋める。
「これでお前も共犯だな」
……死体遺棄。
僕の心に重くのし掛かる、罪悪感。
もう……後戻りは、できない──