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飼い殺しの犬
第1章 飼い殺しの犬
イカれてる。
柚希は、サークルの数少ない女性メンバーの一人。
僕を、その彼女だと思い込んでいる。
……いや、錯覚しているんだ。
カチャン、と布団脇に置かれたケースを開ける。ご褒美とばかりに僕の腕の内側に刺したのは……注射器の針。
……ぶるぶるぶるっ、
薬物が溶け込んだ血液が、じわり……、と熱くなる。
それが末端にまで押し流されれば、指先に感覚が戻ってくる。
快感物質が脳内に放出され、じん、と心地好い痺れ。
「……ふ、ぁ……は……」
僕も、相当なジャンキーだ。
目の前に見えるのは、水道の蛇口。
それに貪りつき、舌を使って内側のギザギザした所に舌先を入れる。
一滴でもいい。欲しい。
欲しい。
頭の片隅では、違う、と警鐘を鳴らす。
だけど止められない。
自分では、もう……