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第5章 不合格

「実地って、実際に女性を使ってですか？」

「そう。こういうのは口で言っても分りづらいからね。
女性と場所は俺が調達するよ。
ただ少しばかし女の子にお小遣い程度は必要かな。
まあ大した額にはならないと思うけど。
どうだい、やってみるかい？」

「是非、そのレッスン受けさせて下さい。
実際に女性を前にして武藤さんのテクニックを見させてもらえるなんて、こんな機会は絶対、逃せません。
お金はいくらかかっても結構です。
ありがとうございます。」

「俺も独立の準備がそろそろ忙しくなるので、なるべく早い時期にやろうか。
お金はほんの、おこずかい程度だから心配しなくていいよ。
じゃぁ、はっきり決まったら連絡するよ」

「ありがとうございます。
よろしくお願いします」

　ちょうど、その時、若いスタッフが戻ってきたので武藤は軽く目配せして部屋を出て行った。
　武藤が何故ここまで俺に親切にしてくれるのか不思議だったが、とにかくこのレッスンを受けて、彼が店を辞めた後は、俺が№１を目指さなければならない。
こんなに仕事に貪欲になったのは初めてだった。