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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第11章 二夜の過ち
「……なにを考えていたんだい奏多?」
「…………え?」
自分の考えで周りが見えなくなっていた時に、スーツ姿の聖さんに声をかけられたことに、漸く気がづいた。
時計を見れば夜の8時、随分と長く考えごとを……うんん、こんな遅くまで仕事をしていたんだ、聖さんは。
「その……お帰りなさい」
「ただいま。
いいね、誰かに『お帰り』と言われるのは。僕はずっと一人だったから」
「でも、お手伝いさんが……」
「うん、言ってくれるけどね、奏多に言われるほうがいい」
「……そう……」
「……なにかあったのかい奏多?」
聖さんを見ると、嫌でも思い出す昨日の出来事。
この痣と共に私は……聖さんの誘惑に身を委ねたこと、本気で感じてしまったこと。体中がざわめく、あの続きをと。
「……奏多」
「私……自分の体じゃないみたい」
違う、違うと思いたいの。
男性に責められ喜ぶ私の体は、私の体じゃないって。
……心が悲鳴を上げる、頭が否定する、今までの私でいいって。
「……奏多……」
着替えることもせずに、聖さんは私が座る椅子の前に跪く。そして、私の手に自分の手をそっと重ねた。
「快楽というのはね、重ねれば重ねるほど感じやすくなるもの。
奏多はどこかで感じたことがあるのではないかな? その経験と昨日の快楽が、奏多の体を更に敏感にしたのだろうね」
「でも、責められた場所を見ただけで私……」
「思い出し体が疼いた。
それは誰しもあること。僕もあの部屋に行けば、奏多を思い出して欲情するだろうね」