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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第11章 二夜の過ち
◇◇
朝というか、昼近くの私が考えたことに落ち込み、その後は部屋に居るか、居間のテレビを見ているかして夕方まで過ごしていた。
……そのほうが、気が紛れるから。
その間中、お手伝いさんがお茶やお茶菓子、暇潰しの本なんかを持って来てくれたけど、食べる気にも読む気にもならず、私が思ったことにずっと閉じこもり気味に過ごしたとは思う。
だってそうでしょう?
思い出して発情したり、自分で諌めそうになったりなんて、私の人生では無かったことだもの。
こんな淫乱な私は私じゃない。
そればかりが頭の中を締めて、私自身が身動きが取れないの。また同じことになってしまったら、私は今度こそ……。
(こうしてテレビを見ることも少なかったよね)
伊礼物産に入社してから必死で、心に余裕なんてあったものじゃない。
新人研修をこなし、先輩から教えでパニックになり、漸く受付に立った頃には、自宅は寝に帰る場所に変わっていた。……それが一般的だと思うよ、社会人だもの。
だから、こんなに長い時間テレビを見たのは久し振り。私の知っていたテレビ番組ですらない、ただのエンタメ感覚。
気は紛れるけれど、頭には入って来ないのよ。こんなところも変わったんだ私。
(逆に変わらないことって、なんだろう?)
時間があるから、ゆっくりと考えているよ。でもね変わらないことが少ないことに気づくことにもなってしまった。
……いつまでも同じではいられないんだね。