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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気
ワイシャツに手を添えてキスに応える。少し涙でにじんだ夜景は、星空のようにキラキラと輝いてみえるよう。幻想的な雰囲気の中で止まらないキスの繰り返し。追われては追って、追っては追われて、軽い息継ぎ以外離れない唇、もっとと絡まり合う舌。時々舌を吸い上げられ、思わず鼻から抜けるような吐息が漏れる。
「ンッフ……ン……」
「奏多……奏多……チュッ……」
「ンンッ!」
聖さんの本気のキスに、どうしよう私が止まらない。沢山キスしたいと、聖さんに向かって舌を伸ばして先の催促をしているみたい。弾けた感情と欲情が私を突き動かすの。自分に素直になったら、こんなにもやらしくなるんだ。それを教えてくれたのは……聖さんと巽さん。
「……はぁ」
「……このまま奏多を抱いてしまいたい。でもね、幾らなんでもこの場所では……抱けないね」
「それは……うん」
「観覧車が降りるまで、僕の腕の中に居てくれるかい? ただ居てくれるだけでいい」
「……はい……」
広がる夜景を見ながら、聖さんが私の髪や背中を撫でるのを感じ、私はじっと腕の中で聖さんの温もりに漬かっている。
穏やかで理想的な男性像、それが聖さんだと私は思う。そんな人が私に『愛している』と言ってくれるのは、なんて幸せなんだろう。応えたい、でも応えられない私の想い。今はまだどちらかなんて決められないの。二人をよく見て知って、いつかは答えを出さなくてはいけないんだよね。……でもそれは、どちらかを悲しませること、それも理解しているから辛いよ。