この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第18章 心境複雑中
「来いよ奏多」
「あ……私……」
巽さんはベッドの端に座り、片手を差し出して私を誘う。その真面目さと、少しの欲望が入った瞳に囚われるのは私。雰囲気に飲まれるというの? 巽さんの逆らえない雰囲気に、私は少しずつ巽さんに近づく。近づくのを止められない。
近づいて手を取ろうとしたら逆に捕まれて、巽さんは私をベッドに押し倒す。
「そうだ。素直なのが一番だぞ?」
「だって……巽さんが誘うから……」
「俺……だからか?」
その問いに私は一瞬躊躇してしまう。もし同じ状態で聖さんに誘われたら、私は同じくその手を取ると思ったから。
(これって二股と言うんだよね)
巽さんと聖さんの希望ではあるけれど、一般的に見て『二股』だという事実は拭えない。じゃあ今どちらかに決められるの? 本気の二人にそれが言える?
……答えは言えない。まだ決められない。
そもそも二人のどちらかを決める必要があるの? 他の選択だってあるにはある。……どちらも選ばないという選択、二人にとって一番残酷な選択。それを出来るの私? どちらにも惹かれているくせに。
「……奏多?」
「分からないの。巽さんにも、聖さんにも惹かれる私。選べと言われても選べない私。どちらかを選んでしまったら、どちらかに悲しい思いをさせてしまう、そう考えると余計に選べなくなる」
「それは俺たちが望んだことだ、俺も聖も互いに納得している。それに今はまだ考えなくてもいい。ゆっくり俺たちを見て知ってから、答えを出せばいいんだよ」