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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第18章 心境複雑中
「だけどこれって『二股』と言うでしょう。選ばないズルい女、周りからそう見られても仕方がないんだよね」
「奏多の意思じゃないだろ、こんな要求を突きつけた俺たちの意思なんだ。奏多が引け目に感じなくてもいい」
「……三科さんにまた言われそうで……」
「三科? 彼奴、お前になにか言ったのか」
「…………」
それには私のほうが黙ってしまう。『男に尻尾を振る淫乱女』、聖さんとのことを知っていて言われた言葉。人から見ればそう捉えられても、なにも言い返せない私。事実そうじゃないの、巽さん聖さんとさ迷う私は、悔しいけど三科さんの言葉通りだと思うから。
「……言われたんだな」
「…………」
「彼奴の言うことなんて気にすんな。奏多は俺たちだけ信じていればいいんだ」
「……でも、言われたことは、他人から見ると事実。社長息子に尻尾を振る、さもしい女に見られても仕方がないんだよね」
「だからな!」
「本当のことでしょう?
どちらかを選ばない私は、二人を弄んでいるように見えてしまう。三科さんに言われた『男に尻尾を振る淫乱女』って……。そして私はそれに言い返すことが出来なかった。……誤解があっても、一部は本当のことだから」
「他人なんか知ったことじゃない、口さがない連中には好きに言わせておけばいい。事実は違うだろ? 俺たちのほうが奏多にそうさせたんだ、馬鹿な連中にそう公言してやっても俺は構わん」
「それでも悪い話は止められないよ」
「確かにな。だが牽制にはなるぞ」