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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第19章 奏多の本気

週末は私の家から出ることなく、巽さんと二人でゆっくりと過ごしたの。
ほら、食材は沢山あるし、独り暮らしだから料理にはそこそこ自信があるので、家で作って二人で食べて……。巽さんは美味しいって食べてくれた、よかったぁ。
後はテレビや映画を見たり、お喋りに夢中になったりして、あっという間の一日だったと思う。夕方過ぎに巽さんは帰ってしまったので、残りの時間を細かい物の模様替えと、勉強をして終わらせたのよね。
……そして週明け。
(朝陽居るかな……)
漸く慣れた電車を降り、私は辺りを見回す。朝陽は改札を出たところに居ることが多かったから、出てすぐに朝陽を探したの。
(…………居た!)
躊躇うように私を見ている朝陽。私は気持ちに整理をつけて、朝陽のほうに向かって歩く。
「お、おはよう奏多」
「おはよう朝陽。週末はごめん、私が言い過ぎたよ」
「怒って……ないの?」
「うん。朝陽には朝陽の事情があると思うことにしたから」
「そう、よかった」
「行こう朝陽」
「そうね」
少しだけ朝陽の事情に触れたけど、私は聞かなかったことにすると決めたの。
巽さんは言ったよ『いつか俺から話す』って。だからそれを信じることにしたのよ。
会社に行ってみると、この間の三科さんのことが噂になっていた。エントランスには監視カメラが沢山設置されていて、私の名前こそ公表されなかったけど、証拠を撮影されていた三科さんは厳重注意処分。……これで大人しくなってくれれば……私からはなにも言うことはないと思う。

