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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと
三科さんは、その場で警備の人に取り押さえられ、社員証剥奪の元に社外に放り出された。どうやら朝陽が警報を押していたらしく、監視カメラから一部始終を見ていた上の判断らしい。
私と朝陽はというと、これもまた監視カメラを見ていた上司が飛んで来て、終業近い時間だったので、そのまま退社していいと言われたの。ただし、朝陽の怪我は内密にと何度も念を押されたけれど、これは仕方がないと思う。
「朝陽、私が送って行くから」
「…………」
「駅まで歩こう?」
「…………」
朝陽はずっと話さない。頷いたり、指で行動示唆はしてくれるけど、一切話そうとしてくれないのよ。
ロッカーの鍵を借りて、私の着替えと朝陽の鞄を持ち更衣室から出た。陰で私を指差し悪口を言う女子社員は居たけれど、先ほどのあれを体験してしまうと、こんなのは子供の遊びとさえ思えてくるんだから不思議だよね。
「行こう朝陽、少しでも早く手当てをしたいから、お願い言うことを聞いて?」
「…………」
コクンと一つ頷いてくれる朝陽。不安だから朝陽を支えようと怪我をしていないほうの体を支えたんだけど……。
(……え? うそっ、見た目より体重が……?)
ズシッとした重み。細くて体重はなさそうなのに、実際の朝陽はしっかりとしてる。そう、私は一度も朝陽に抱きついたり、体に触れたことは無かったの。こんなことがなければ、ずっと触れなかったくらい、一緒に居たのに女同士らしいスキンシップは皆無だったと思い知らされた。