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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと
なんとか支えることは出来るので、そのまま会社から出て駅に向かう道を歩こうとしたら、朝陽が私の服を掴み止められてしまった。
「朝陽?」
「…………」
朝陽が指差すのは、駅とは真逆の方向。そう、会社の駐車場を指しているの。私は車を所持していないので、駐車場に来たことはない。指示に従って駐車場を歩けば、見知っている車がそこにあった。
「朝陽……あれ……」
「…………」
朝陽は一つ頷く。鞄からキーを取り出しロックボタンを押せば、反応し光るのはあの車……。
(どうして……。どうして朝陽が巽さんの車を?)
ただ車種が同じなのかも知れない可能性だってある。だけどそれじゃ……なぜ駅に朝陽は居たのか、それが疑問になってしまう。
(巽さんが……言っていた)
私を守るために朝陽を……って。それじゃ朝陽は、ここに車を置いて、わざわざ駅に来ていたことになる。
(朝陽がいつも待っていたのは改札の外。そう考えれば辻褄は合う。だって改札の中に入る必要がないせい)
ドンドンと疑問が確信に変わってゆく。その間にも、私と朝陽は車に近づき、朝陽は運転席に乗り込んでしまったの。その朝陽の目が『私は乗らないの』と、訴えかけられ、私は少し迷ったけど助手席に乗り込んだ。
(細かい内装とかは同じ)
殆ど私物を置いていないスタンダートタイプ。巽さんは車の中に分かるような物を置いていたかと必死に考えたんだけど、それらしい物は見たことがないのよ。
朝陽のこの車も同じ、備え付け以外の物が一切ない。