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第25章 社長の前での決断

「なぜ彼女一人を守る理由がある？　解せないのはこの一点。女性社員は数多居る中で、揃って彼女だけを擁護する理由はなんだ？」
「惚れてるからに決まっているだろう」
「僕も巽と同じ、彼女に気があるからこそ、彼女を守ることを選びました」
「揃ってか？」
「昔からな」
「えぇ、昔から。僕も巽も彼女しか目に入らない。だからこそ巽は表立って、僕は裏で彼女を守ると約束した。それに後悔はありませんよ」
「昔……か。少々調べたが、彼女との接点は過去に同じ街に住んでいた、この程度しかない。そのことを言いたいのか、聖、巽」
「そうだ。彼女の近くに居たいがために、あの高校を選択したくらいだからな」
「それを見ていた僕も……。流石に僕は遠くから眺めるだけでしたが」
「あのナリじゃあな、近くもなにもあったもんじゃない。だから彼女がこの会社に入社すると知り、今度こそと思っただけだ」
「巽と同意見ですね。おかしいですか？　一人の女性を追いかける僕たちが。女性は数多く見てきましたが、彼女以上に惹かれる存在など他に居ません」

聞いている私のほうが恥ずかしい！　包み隠さず話す巽さんと聖さんの言葉に、私は羞恥で顔すら上げられないまま。こんな場所で平然と思いを口にされて、私……決意が鈍りそうなくらい戸惑っているのよ。巽さんと聖さんの真剣な想いの数々に……。

「では、夏目奏多さん、君に直接聞く。うちの息子たちをどう思っている？　特に巽だ、そろそろ女装は知っていると判断したうえで問う」
「……私は……」