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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断
「僕たちは邪魔ですかね社長?」
「お前たちには悪いが、うちもこんなものだぞ? 誰かを本気で愛しく守りたい気持ちは、なによりも勝る。あの偏屈な教えのせいで、お前たちが曲がってしまったかと思っていたが、意外に普通に育ってくれたと分かり、存外安心しているんだがな?」
「社長もですか……。やれやれ、見せつけられるのは僕だけのようですね」
「私的に近いんだ、社長と呼ばなくてもいい聖」
「もうそれに慣れてしまいましたので、今更社長以外では呼べませんね」
「こっちは多少偏屈に育ってしまったか。口悪くも親父と呼ぶ巽のほうが、まだ可愛げがある」
「僕は普通ですよ。……表向きはね」
私と巽さんがこんなことになっている向こう側で、聖さんと社長が凄いことになってない? 気づいて巽さんからは離れた私だけれど、向こう側の攻防に暫し唖然としていたのは仕方ないでしょう。
「だから言ったろ、私生活は新しい妻とラブラブ生活だと」
「はぁ、まあ……聞きましたけど、実際に見るとまた……」
「少し仕事から離れるとこれだからね社長は。僕なんか毎回ノロケ話を聞かされているよ」
「他に言うこともなし、多少はノロケさせてくれてもいいだろう。私とて漸く掴んだ幸せだ、ノロケたくもなる」
「……社長って、巽さんと聖さんを足したみたい」
「まぁ、親子だからな」
「しっかり二分したけどね」
こうして考えると、社長の性格も受け入られそうな感じがする。最後には社長のノロケ話で終わったよ。
でも巽さんに言えたこと、社長に認めて貰ったこと、私はとても嬉しくて、そして幸せだと思った。