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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第26章 もう過ちじゃない


俺が堪えきれずに、玄関などで奏多を抱いてしまったが、これでも多少は後悔してるんだ! 奏多には出来る限り優しくしたい俺の心のせい。

(まさか俺を選ぶとは、思ってもいなかった)

親父の前で俺を選ぶと言われた時、俺がどんな思いだったか奏多には分からないだろう。ずっと聖を選ぶと思っていた俺。そりゃそうだろ、俺よりも聖のほうが、一応奏多と長い時間居たんだ。昨日も聖のマンションに行き……ただで帰って来たとは思っていない。それなのに、俺と言った奏多。本音を言えば、泣きそうになるくらい嬉しかったんだよ。……流石に泣きはしなかったが。

(奏多はどんな想いだったのか……)

奏多を抱き上げ、バスルームまで歩く間、俺は少しだけ考える。一週間以内に決めろと言われ、決めれなく悩んでいた奏多。それが数日で俺を選んだ理由は?

(いや、理由など、どうでもいいのかも知れん)

奏多が俺を選んだ、俺が好きだといった。この事実だけで俺は、一生奏多を守って生きてゆける。
初恋は実ることはないと言うが、見事に実ったじゃないかよ!

大して欲しいものも、やりたいこともなかった俺の、唯一心に引っ掛かっていたのが……奏多。大人の都合に振り回され、もう二度と会うことは出来ないと諦めていた。それが親父の会社に入社と聞いた時は、奇跡でも起きたと思ったくらいだ。奇跡は続き、奏多は今俺の腕の中で大人しくしているんだから、世の中捨てたもんじゃない。

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