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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第26章 もう過ちじゃない

そう言われると思って躊躇っていたのに、口の軽い私め。だけど、いつまでも隠しているわけにもいかなかったから、言ってしまって少しだけホッとしているの。

「ほら、まだ受かると決まったわけじゃないから」
「最低限のことは、受付をやって実践してんだ。確率的に悪くないと俺は思うぞ」
「本当に?」
「こんなことで嘘は言わないさ」
「うん。唯一巽さんだけは嘘を言わなかったもん」
「隠し事はしていたけどな。だが嘘は一度も言っていない」
「ちゃんと分かっているから」
「それなら……いい」
「もぅ! 私寝る」
「おいっ! その気の俺はどうするんだよ奏多?」
「もう無理だよぉ」
「……ちっ」

だけど、もう少しだけ巽さんに寄り添ってもいいかな? でも、くっつき過ぎるとまた責められそうだしと、今の私の微妙な心。好きな人の側に居たい気持ちと、幾らなんでも日に三度は無理だよという気持ち。だって、巽さんまだやる気満々みたいなんだもん。

結局少しだけ離れて眠ることにした私。朝になれば巽さんの胸の中は、そろそろお約束。それでもいいの、巽さんだから、私の大好きな人だから。こうして一緒に……新しく出来た私の夢。
巽さんと一緒に居たい、巽さんに寄り添いたい、巽さんとずっと話していたい。巽さんを好きになったからこそ、新しい夢が持てたんだよ。ずっと一緒に居られればいいね、巽さん?

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