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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第27章 エピローグ
週明け、会社に行って見れば、予想通りの大騒ぎ。
そりゃあね、伊礼巽の正式な婚約者だもん、騒がれて当然。聖さんのことに関しては『弟の大切な婚約者を守るため』で、周りは納得したみたい。それと共に高嶺の花『聖様』が復活してしまったけど、本人は全く気にしていない様子なのよね。
私は替わらず受付だけど、隣に居た朝陽は居ない。今はピンチヒッターとして、前の受付嬢が交替で私と組んでいる。それは仕方がないよ、巽さんは……。
「おはようございます」
今日も重役最初の出勤は社長。でも変わったことが一つだけある。今まではこちらを見て軽い挨拶だけだったのに、今は受付まで寄って行くのよ。
「おはよう夏目君」
「おはようございます社長」
「そうだ。今度私の家に遊びに来ないか? 妻が夏目君を見たがっているんだ」
「お話を合わせて、お時間がある時にでも伺わせて貰います」
「合わせてか。先に巽に言ったら渋い顔をされたがな。夏目君が言えば巽も来るだろう。期待している」
「はい」
これが日常化してしまったの。片手を上げて、気楽に受付を通り過ぎてゆく社長と、隣の組んでいる先輩をチラ見しながら、冷や汗の私。だって、この先輩は嘘好きで、こうした朝の出来事を皆に広めるの。相手が社長だから、私は直接的な被害はないけれど、それでもね……。すっかり敏腕社長から、息子の婚約者が可愛くて仕方ない社長に格下げ中。これは少し心苦しいわ。