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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第27章 エピローグ

それから暫く重役の人たちがエントランスを通り、次に来るのが聖さん。これもまた受付に寄って行くの。

「おはよう奏多」
「おはようございます伊礼課長」
「やれやれ、朝から役職呼びね。最近はすっかり呼んで貰えなくなったから、僕としては寂しいよ」
「そう言われましても仕事中ですから」
「仕事中で逃げられたかな? あぁ、今日は巽が来るよ」
「そうなんですか? 私はなにも聞いていませんでした」
「意外に冷たいね巽も。じゃあ、終業後に待っているよ」
「はい、分かりました」

今話した通り、私は巽さんのマンションから、自分のマンションに戻っている。『せめて試験が終るまで』それが、私から巽さんにしたお願い。試験じゃ仕方ないと巽さんはお願いを聞いてくれて、現在にいたる。
本当に試験直前で、ここ数日は巽さんを構っていないから、なんとなくむくれていそう。……そう思っていたら、噂をすれば影? 巽さんが出社して来たよ。

「おはよう奏多」
「おはようございます巽さん。今日は出勤だったんですね」
「一応邪魔になると思い、連絡は控えたんだが?」
「それはまぁ……すみません」

うっ、やっぱり少しふて腐れてる。他には分からないかも知れないけれど、私には分かってしまうこの辛さ。好きだからこそ、相手をよく見ているというやつ。

「悪いと思うんだったら、今晩付き合うか?」
「……え? ということはまた?」
「違う場所でもいいぞ? ただし、俺の腹次第だが」
「夜の食事量……」

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