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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第27章 エピローグ

「入社したその日から、私の側に居てくれて、私をグイグイ引っ張ってくれた。話をしていても楽しくて、騒ぐのも楽しくて、いつの間にか私は朝陽を大好きになっていたんだね」
「そこまで言われちゃぁ仕方ないわ」
「くすっ。朝陽、だぁーいすき!!」
「へぇ? ちょ、奏多ぁ! ここ街中!?」

思わず朝陽に抱き付いた私に対して、朝陽はとんでもない声を上げている。でもいいの人目なんて気にしない。巽さんであり、朝陽でもある、だからどちらも大好きなんだから。
抱き付いた感じはやはり巽さんの感覚、でも一つだけ違う……。

「……朝陽、胸大きい……」
「問題はそこ? 胸はえーと……かなり盛ってるわ……。ほら、巨乳のほうが男ウケがいいみたいな、それに胸が好きなのは男の性で……ついこだわって大きくなっちゃったというか……」
「……私より大きい……」
「いや、まあ……じゃなくて、奏多の胸も綺麗でしょう?」
「揉む感じも……本物そっくり……」
「揉む? ち、ちちちょっと奏多! ここ本当に街中ぁぁー!?」

ダメ、慌てる朝陽に笑いが止まらない。巽さんの体躯に巨乳が付いてる、無理、絶対に無理っ! おかしくて涙が出そう。でも、少しだけ胸が気持ちいいかも? 朝陽は最後まで『奏多ぁぁ!』と、慌てていたけど、私の本当の気持ちだよ。

騒いで、騒いで、漸く会社に到着。そして久し振りの朝陽との受付。でもね、秘密を一つだけ……。人目に見えないカウンターの下で、私と朝陽は手を握っているの。繋がれた手の感触は勿論巽さんのもの。だけどそれに安心している私。受付はもう少しだけだけど、その間だけこうして居させて? お願い、巽さん、朝陽。

「奏多、来客」
「うん、分かってるよ朝陽」

繋いだ手を離して、私たちは来客対応に構える。言う言葉はもちろん……。


『伊礼物産へようこそ!』


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