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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第3章 会社の顔
新卒就職難と言われるこの世代なのに、私『夏目奏多(ナツメ カナタ)』は、就職戦線に打ち勝ち、見事大手商社『伊礼(イライ)物産』から内定と採用決定を頂きましたー!
「やったぁ!
一番ダメだと思っていた伊礼物産に通ったよ!!」
短大卒程度じゃ歯牙にもかけないと思っていたのに、まさか採用されるなんて。しかも正社員雇用だよ。
夢みたいな話。
内定通知が来た時に、私は夢だと思って頬を思いっきりつねったくらいだもの。
……かなり痛かったけど。
そんな就職活動も終わり、短大も卒業し、新しい生活が始まる四月。
入社式の時は驚いた。
だって周りは皆高学歴で、私とは別人種に見えたんだから仕方ないでしょう?
(どうして私が採用されたんだろう)
これを見てしまうと、そんなことを考えてしまう。
丁度良いお茶汲みが欲しかったのかとか、凄い閑職に配置されるとか、入社初日はそんなことばかり考えていた。
入社式が終われば、二ヶ月の新人研修の始まり。
かなり気後れしていたのは確か。でも、同じ研修仲間に出会ったことで、私はこの新人研修を乗り切ることになる。
「初めましてー。
私は金森朝陽(カナモリ アサヒ)あなたは?」
「あ……夏目奏多です、宜しくお願いします」
「固いなー。
同じ新入社員なんだから、敬語なんていらないじゃない」
「ぷっ……。それもそうですね」
聞けば金森さんも私と同じ20歳での入社。
良かった。私以外にも居たんだと、ホッとしたとも思う。