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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第8章 営業マンは受付嬢が好み
多少衣服が乱れていたって、首元付近に目立つ痣があったって、警察に駆け込めば私の勝ち。
だけど……あんな風に責められた反動なのか、足が思うように動かない。
走らなきゃ、私は三科さんに捕まる。そして今度こそ逃がしてくれないのが直感で解るために、怠い体を無理をしてまで目的地に向かい走る。
「はぁはぁはぁ……」
世間の私を見る目は冷たい。うんん、今はそんなことなんて構っていられない。無心に交番へと走る私、でも、でも! 後ろから三科さんが追いかけているのが分かるの!!
(嫌……絶対に捕まりたくない)
あんな人に抱かれるなんて……虫酸が走るくらいの強烈な嫌悪感が私を襲う。
もう少し、もう少し動いて私の足、三科さんに追いつかれないくらい動いて、走って!
「はぁはぁはぁ……はぁ……」
思うと体は別物。幾ら私が行こうと思えども、走るスピードはどんどんと遅くなり、もう間近に三科さんが走る靴音が聞こえるの。
逃げられない、私はこの人に好きなように犯される……そう諦めかけた時。
「……おっと!」
私は足がもたついて、人にぶつかってしまった。
「君は……確か受付の夏目さん?」
「…………え?」
私を知っている……人?
恐る恐る顔を上げれば、綺麗な顔が飛び込んで来る。
……この人は……。
「夏目さん!!」
「……っっ!」
三科さんに名前を呼ばれ、反射的にビクッと体が震える。……嫌、捕まりたくない、だけど……。