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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗
「君は営業の三科君だね、なぜこんなことになっている?」
「それはっ!
あの、その……夏目さんを俺に返して貰えませんか……伊礼(イライ)課長」
「…………」
駄目っ! 三科さんの話を聞かないで! 三科さんを信用しないで聖様!
すがる思いで聖様のスーツを掴めば、聖様は不思議そうに私の姿を見た。
「…………。
着衣の乱れ、首の痕、そして逃げるように走り、彼女自身は震えている。
これはどういうことなのか説明して貰おうか、三科君?」
「……夏目さんを誘い飲みに出て……。夏目さんだってその気だったはず!」
「………っ!」
違うと、私は必死に首を横に振る。お願いです気づいて下さい聖様!
「…………」
私を軽く支えながら、暫く考える聖様。こんな時でさえ冷静さを失わず、私と三科さん双方を見つめているのよ。
「僕はそう思わない。
彼女の表情、今のこの姿、どちらかと言えば、君が無理矢理彼女を襲おうとした……違わないかい?」
「そんな、俺は……」
「ではなぜ彼女は逃げるように走っていた?
外でこのように脇目も振らず走るとなれば、相手に対する拒否と考えるのが一般的」
聖様は更に三科さんを畳み掛ける。
「客観的に見ても、彼女は君を避けているのは明らか。同意の上ならば、なぜ彼女は君の元に行かない?
我が社は社内恋愛に制限を設けてはいない、僕が居ても彼女がその気であれば君の元に行くよ」
「な、夏目さん、俺の元に……」
「嫌! 絶対に嫌!!」