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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「………返して、下さい」
鉛を飲み込んだ様に、心が重苦しい。
騒ぎ立てる訳でもなく。泣き寝入りする訳でもなく。ただ、感情を押し殺す様にして淡々と言葉を吐く。
「ねー、果穂ちゃん。こういうイケナイ事してんの、将生は知ってんのかなぁ?」
将生……安藤先輩の事だ。
ボブヘアの由美が勝ち気な表情で画面を見せる。
もう一人も、睨みつけるように私を見ながら口元を歪ませる。
「知ったらどーなるか、今から試してあげよっか」
「……いーね、それ!」
由美の提案に乗ったとばかりに、ロングヘアの子が口の両端を持ち上げる。取り出した携帯を両手で持つと、器用に2本の親指を高速で動かし、何やら打ち込み始めた。
「……」
別に、安藤先輩の事はどうだっていい。知られたって構わない。……けど。さっきから食堂にいる人達の視線が、チラチラと此方に注がれていて……それに耐えられそうにもない。
ざわめく空間。
嫌な汗。軽い眩暈。
早く携帯を奪い返して、さっさとこの場から立ち去りたいのに……
鉛を飲み込んだ様に、心が重苦しい。
騒ぎ立てる訳でもなく。泣き寝入りする訳でもなく。ただ、感情を押し殺す様にして淡々と言葉を吐く。
「ねー、果穂ちゃん。こういうイケナイ事してんの、将生は知ってんのかなぁ?」
将生……安藤先輩の事だ。
ボブヘアの由美が勝ち気な表情で画面を見せる。
もう一人も、睨みつけるように私を見ながら口元を歪ませる。
「知ったらどーなるか、今から試してあげよっか」
「……いーね、それ!」
由美の提案に乗ったとばかりに、ロングヘアの子が口の両端を持ち上げる。取り出した携帯を両手で持つと、器用に2本の親指を高速で動かし、何やら打ち込み始めた。
「……」
別に、安藤先輩の事はどうだっていい。知られたって構わない。……けど。さっきから食堂にいる人達の視線が、チラチラと此方に注がれていて……それに耐えられそうにもない。
ざわめく空間。
嫌な汗。軽い眩暈。
早く携帯を奪い返して、さっさとこの場から立ち去りたいのに……