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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
じめじめとした薄暗い部屋の隅。剥き出しの肌に這う、生暖かで蛞蝓の様な感触。
忌まわしい過去の記憶が脳裏を過り、直ぐに拒絶して打ち消す。

どんなに周りに助けを求めようと、それをきちんと受け止めてくれる誰かがいなければ……危険を冒してまでSOSを発信するのは無駄なんだと悟った。
だから、求めない。
辛い目に遭ったとしても、我慢して私の中に閉じ込め、処理していくしかない。
……そう、思ってた。

「……」

もしかして、大山さんの代返の件も、私に注意したんじゃなくて……
そう思うと、何ともいえない気持ちになる。あの時も今も、私に気付いてくれて、庇われていたのだとしたら……
どうしようもなく恥ずかしくて、胸の奥が熱くて……擽ったい。


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