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第3章 パパ

パッパー
ガヤガヤガヤガヤ……
夜が深まる度に、一層熱気と輝きを増すネオン街。
露出度の高い派手な女性が、いかにもな男性の腕に絡み付き、馬鹿笑いを上げながら私の直ぐ横を通り過ぎていく。

二人の関係は、きっと二人にしか解らない。
……でも、今の私には……充分に羨ましい。

「……」

別れ際に渡された、タクシー代。
今まで感じていた先生の温もりが、たった紙切れ一枚の、軽いものに成り下がる。

もう二度と、無いんだ。
抱き締められる事も。二人で会う事も。見つめられる事も。
そう思ったら……自然と涙が溢れ、下瞼を濡らしながら零れ落ちる。


街の夜風が吹き、私の横髪を小さく揺らす。
生温かくて。ベトベトして。
排気ガスを含んだ、不快な空気。
逃げ場なんて何処にもない。
上手く、息ができない。

「……」

助けて……
心の中で、小さく呟く。
誰か、助けて……

瞬きをする度に、白んでいく視界。
ネオンの光が、涙で一層美しく輝きを増す。
嫌味な程に……