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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
『ごめん。……逃げてたの、見つかっちゃった』
「……」
『そろそろ戻るね』
怒られるかもと物陰に隠れていた子供が、見つかってしまった時のような……諦めと不安の混ざった声。
それを隠そうとする、ホストとしての明るいトーン。
「………うん」
もしかしたら……祐輔くんが、枕したかもしれない太客。
その相手の女性が癇癪を起こしてるって……想像しただけで、大変そう。卓に戻った祐輔くんが、笑顔で宥める姿が目に浮かぶ。
『それじゃ、おやすみ』
「……おやすみ」
祐輔くんが枕してる──そう知った時、私と同じ事をしてるんだって思ってた。
でも、全然違うって……今なら解る。
相手をしてるのは、出会い系サイトの住人なんかじゃない。店に来てお金を落としてくれる、大事なお客さん(リピーター)。
嫌だからといって、無下に出来ない。
『……あ、そうだ。果穂ちゃん!』
携帯を耳から離し、通話終了ボタンを押そうとして、呼び止められる。