この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人
『……何してんだ! 止めろ!』
私に取り囲んだ女子高生集団に、果敢にも食ってかかったのは───祐輔くん、ただ一人だけ。
『……ハァ? 何コイツ』
『ああ、……帰宅組の奴じゃん』
『うっざ』
『行こ』
女子高生集団が掃けた後、落ちた写真の屑を、祐輔くんがひとつひとつ拾ってくれる。
『……これ、少しの間、俺に預けてよ。
絶対、綺麗に直すから』
拾いながら、真剣な顔でそう言われる。
『………うん』
ありがとう……
ザァ──ッ、
壁に背中を付けたまま、ズルズル……と崩れる。しゃがみ込み、背を丸めて頭を垂れる私に、容赦なく大粒の雨が打ちつける。
……もう、涙さえ……出ない……
ビリビリに破られた写真。
人伝に返ってきたそれは……決して綺麗じゃない、ツギハギだらけの寄れた写真だった……
一度壊された心はもう、元には戻らない。
戻らないんだよ、……祐輔くん……