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兄の帰還 壁越しに聞こえる妻の嬌声
第1章 兄の帰還
その日から僕と琴美、父と母、そして兄の5人が1つ屋根の下に暮らすことになった。
もともと兄も住んでいた家だし、田舎の家だから部屋は十分あるので問題ないが、僕たち夫婦と兄が一緒に住むのは、やはりどこか気まずさがあった。
特に夜が問題だった。僕と琴美は、兄を気遣い、しばらく夫婦生活を控えることにした。
そんなある日、僕たちが部屋に戻ろうと一緒に席を立つとき、兄と目があった。
「颯太、話があるんだが」
僕は兄の部屋に呼ばれた。
「おまえ、琴美を抱いてないだろう」
直球、ストレートがズバッときた。僕が答えないでいると、
「俺に遠慮してるなら、そんなのは無用だ。おまえたちは夫婦なんだから夫婦らしく自然に振舞えばいい」
「兄さん、本当にいいの? 古い家なんだ、声だって聞こえるかも知れないよ」
「大丈夫、俺も大人だ。でも……」
兄が言葉を続けるのを躊躇った。何かあるのだろうか。
「でも、何さ?」
僕は先を続けるよう促したが、兄は口を開こうとしなかった。
「どうしたんだよ。兄さんらしくないな」
僕が再び促すと、ようやく重い口どりで、
「でも、もし颯太が俺の我儘を許してくれるなら、琴美がお前に抱かれているところを見てみたい。そうしたら、俺は琴美のことが本当に吹っ切れると思うんだ」
意外な言葉に僕は驚いた。だが、兄の気持ちもわかるような気がした。
「すまん、こんな変態じみた話をして、今のは忘れて……」
慌てて取り繕うとする兄の言葉が終わるのを待たず、僕は、
「わかったよ、兄さん」と言った。
もともと兄も住んでいた家だし、田舎の家だから部屋は十分あるので問題ないが、僕たち夫婦と兄が一緒に住むのは、やはりどこか気まずさがあった。
特に夜が問題だった。僕と琴美は、兄を気遣い、しばらく夫婦生活を控えることにした。
そんなある日、僕たちが部屋に戻ろうと一緒に席を立つとき、兄と目があった。
「颯太、話があるんだが」
僕は兄の部屋に呼ばれた。
「おまえ、琴美を抱いてないだろう」
直球、ストレートがズバッときた。僕が答えないでいると、
「俺に遠慮してるなら、そんなのは無用だ。おまえたちは夫婦なんだから夫婦らしく自然に振舞えばいい」
「兄さん、本当にいいの? 古い家なんだ、声だって聞こえるかも知れないよ」
「大丈夫、俺も大人だ。でも……」
兄が言葉を続けるのを躊躇った。何かあるのだろうか。
「でも、何さ?」
僕は先を続けるよう促したが、兄は口を開こうとしなかった。
「どうしたんだよ。兄さんらしくないな」
僕が再び促すと、ようやく重い口どりで、
「でも、もし颯太が俺の我儘を許してくれるなら、琴美がお前に抱かれているところを見てみたい。そうしたら、俺は琴美のことが本当に吹っ切れると思うんだ」
意外な言葉に僕は驚いた。だが、兄の気持ちもわかるような気がした。
「すまん、こんな変態じみた話をして、今のは忘れて……」
慌てて取り繕うとする兄の言葉が終わるのを待たず、僕は、
「わかったよ、兄さん」と言った。