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彼の世界は官能で出来ている。
第2章 彼の名は

「瑛斗…忙しそうだなぁ…」
マスターは彼のグラスを片付けながら呟いた。
「バイトですか?貧乏作家も大変ですね?」
「は?貧乏?――――誰が?」
マスターはキョトンとしながら私を見る。
「え?彼――――瑛斗さん…が…」
すると、マスターは笑いだした!
「ハハハ!瑛斗が貧乏?いやいや、アイツの年収知ってる?多分、四千万以上じゃないかな?」
――――よ、四千…万?
「四千…円じゃなくて?」
「官能書けなくて、副業でシナリオとか歌詞とかやり始めたら――――そっちが売れちゃってねぇ」
――――は?副業?
「そっちのペンネームは“末広 八(すえひろやつ)”だったかな?」
――――えええ!?
末広 八!?今、話題の“ヤッツン”こと末広 八?
最近では、話題のネットドラマ【妻の彼女】で、シナリオを担当していた!
妻の浮気相手が女性だった――――…と言う衝撃的な内容の大人のドラマ。
しかも、濡れ場が綺麗でネットではバズッてた!
「うそ――――…」
「嘘じゃないよ?ほら、雑誌にも取り上げられて――――…最近ではオリコン上位の曲の何個かの歌詞はアイツのだからね~…」
渡された雑誌を見て私は目を丸くした!
【美形男子・末広 八の世界】――――…
美形男子と大きく書かれた横に…頬笑む彼がいた。
さっきまでここにいた…官能を暑く語る瑛斗の姿は微塵も感じられない…

