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彼の世界は官能で出来ている。
第4章 歯痒い才能
「なんか…違うんですよね――――…どっかで読んだことのある文章と言うか…無理やり表現してる――――…見たいな…」
すると、マスターは冷めてしまった私の珈琲を新しいものに変えながら微笑した。
「そう――――俺も感じた。
多分…月睦先生の本じゃない?」
私は原稿用紙を見て「なるほど」と、思った。
「ストーリーや濡れ場の展開、最後の結末までは上手く書けていると…でも、なんか…物真似感が強く出てる感じがするんです。
弟子――――だからでしょうか?」
「それもあるだろうけど…憧れが強すぎるのかもね」
「憧れ――――…」
言われてみれば…原稿用紙には、月睦先生への尊敬や憧れがにじみ出ている。
「どうしても…先生を追いかけてしまうんだろうなぁ…」