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蘇州の夜啼鳥
第1章 ランタンの月
…寝台が広すぎるのがいけない…。
片岡は心の中で独りごちた。
…広すぎるから、大人二人が寝られてしまうのだ…。
寂しいからそばにいて欲しいとねだられ、片岡は留まることにした。
部屋の片隅に置かれた長椅子で寝もうとすると…
「…一緒に…寝てください。
片岡さんもお寝みにならなくちゃ…」
「…だけど…」
仮にも男女が同じベッドに入ることの意味をちゃんと把握しているのだろうか?
戸惑う片岡に
「弱っている私に何かするような方じゃないことは、分かっていますから…」
暁蕾は、きっぱりと言った。
大胆なのだか、無邪気なのだかよく分からない。
…俺もだんだんと若い娘の気持ちが分からなくなってきたのかな…。
肩を竦め、ため息を吐く。
「…信じてくれてありがたいが、俺以外の男に通用すると思うのはやめなさい。
君みたいに綺麗な娘と同衾して平気でいられる男は、まずいないからな」
暁蕾は神妙に頷き…嬉しそうに笑った。
「…ありがとう…」
…それはまるで可憐な白い花がふわりと咲き染めるように綺麗な…犯し難いほどに無垢で清潔な笑みで、片岡の眼と心を一瞬にして奪った。
片岡は、小さく途方に暮れる。
…そうして、まるで不器用な少年のようにぶっきらぼうに
「ここから手前は俺の陣地だからな。
…いいな、絶対に入ってくるんじゃないぞ」
と念を押しながら、寝台に潜り込んだのだった。
片岡は心の中で独りごちた。
…広すぎるから、大人二人が寝られてしまうのだ…。
寂しいからそばにいて欲しいとねだられ、片岡は留まることにした。
部屋の片隅に置かれた長椅子で寝もうとすると…
「…一緒に…寝てください。
片岡さんもお寝みにならなくちゃ…」
「…だけど…」
仮にも男女が同じベッドに入ることの意味をちゃんと把握しているのだろうか?
戸惑う片岡に
「弱っている私に何かするような方じゃないことは、分かっていますから…」
暁蕾は、きっぱりと言った。
大胆なのだか、無邪気なのだかよく分からない。
…俺もだんだんと若い娘の気持ちが分からなくなってきたのかな…。
肩を竦め、ため息を吐く。
「…信じてくれてありがたいが、俺以外の男に通用すると思うのはやめなさい。
君みたいに綺麗な娘と同衾して平気でいられる男は、まずいないからな」
暁蕾は神妙に頷き…嬉しそうに笑った。
「…ありがとう…」
…それはまるで可憐な白い花がふわりと咲き染めるように綺麗な…犯し難いほどに無垢で清潔な笑みで、片岡の眼と心を一瞬にして奪った。
片岡は、小さく途方に暮れる。
…そうして、まるで不器用な少年のようにぶっきらぼうに
「ここから手前は俺の陣地だからな。
…いいな、絶対に入ってくるんじゃないぞ」
と念を押しながら、寝台に潜り込んだのだった。