この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
蘇州の夜啼鳥
第2章 かりそめの恋
「…これ…誰…?」

片岡は一瞬瞼を閉じ、ゆっくりと口を開いた。
「シャオレイ、聞いてくれ…」
歩み寄る片岡からシャオレイを守るように、雨航が腕を横に挙げ立ちはだかる。
そうして片岡の言葉を遮るように、雨航は強い眼差しと口調で言い放った。
「この君に生き写しのひとは、片岡ターレンの愛人だったんだ」
「え…⁈
…じゃあ…このひとが澄佳さん…?」
「そうだよ。
…僕は片岡ターレンのことを探偵を使って調べたんだ。
悪いけれど、どうしても君が騙されているような気がしてならなくてね。
…そうしたら、このひとの写真が出てきて…。
僕は驚いたよ。
このひとはシャオレイ、君に生き写しじゃないか!
…そう。
ターレンは君にこのひとの身代わりをさせようとしているんだ!」
信じ難いように睫毛を震わせる暁蕾に、片岡が叫ぶ。
「それは違う!身代わりなんかじゃない!」
「ではなぜ、シャオレイにそのことを告げなかったんですか?」
冷ややかな声が飛んだ。

「…それは…」
思わず押し黙る。
…確かにその事実を告げはしなかった。
そのことで、暁蕾に失望されたくなかったからだ。

「貴方は、最初からこのひとの代わりにシャオレイを愛人にするつもりだったんですよ。
シャオレイが貴方のかつての愛人に酷似していたから、近づいたんだ。
だから、そのことをシャオレイに秘密にしていたんだ。
世間知らずのシャオレイを、巧みに誘惑して…。
如何にも金持ちの日本人がやりそうなことだ。
…僕は何人もそんな卑劣な日本人を見てきていますからね。
貴方のようなひとを見抜くのは容易いんですよ」
冷たい嘲笑を投げかける。

「待ってくれ。
確かに俺は澄佳に似ているシャオレイに惹かれた。
それは否定しない。
けれど今は…シャオレイ自身を好きだ!」
雨航が暁蕾を庇うように立ちはだかるその強固な壁に向かう。

…傷ついた美しい眼差しの暁蕾が、唇を歪ませる。
澄佳の写真が…片岡と仲睦まじく写る自分に良く似た澄佳の写真が、如何に彼女を傷つけたのかを物語っていた。

震える小さな声で、暁蕾は尋ねた。

「…片岡さん。
私を好きになってくれたのは、澄佳さんに似ていたから?
…もし、似ていなかったら…貴方は私に惹かれなかったの?
恋してくれなかったの?」

/64ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ