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恋する真珠
第1章 海と真珠
「遅いぞ、瑠璃子。
部活に遅れてもいいのか?」
涼太は今朝もぶっきらぼうな口調で店のドアを開いた。

「待って、涼ちゃん。
だって髪型がイマイチ決まらないんだもん。
ねえねえ、こっちの髪飾りとこっちのシュシュとどっちが可愛い?」
瑠璃子は奥の洗面所から貌を覗かせて、ヘアアクセサリーを見せた。
「そっち」
涼太は店のテレビの天気予報を見たまま短く答える。
「あ〜!見てない!涼ちゃん、全然見てない!」
頰を膨らませて怒る瑠璃子に、
「そっちだそっち。赤い石の方だよ」
めんどくさそうに指を指す。
「チェコビーズの方ね。
ありがと」
瑠璃子はようやく笑顔になると洗面所に引っ込んだ。

「…あと三分で出て来なきゃ置いてくぞ」
「分かってるてば」

涼太のため息を聞きながら、鏡の中の自分に笑いかける。
「…涼ちゃん、今日もカッコいいな…。
なんであんなにカッコいいのかな…」
うきうきしながら、呟いてしまう。

…あんなになんでもない白いTシャツと洗いざらしのジーンズが似合う男の人は見たことがない。
まるでブロンズ像のように綺麗に日焼けした肌に、男らしく整った目鼻立ち…。
やや大きめな唇の端に大抵煙草を咥えているのもうっとりするほどに魅力的だ。
…背も高くて、190センチはゆうにある頑丈な体躯も毎日見ても見惚れてしまう…。

「…瑠璃ちゃん、手がお留守になっているわよ」
ぼんやりしている瑠璃子に、兄嫁の澄佳が笑いながら声をかける。
「澄佳さん…」
手早く瑠璃子の髪を整えてくれる澄佳に鏡越しに眼を輝かせる。
「澄佳さん。涼ちゃん、こっちのが可愛いって!
澄佳さんと一緒に作ったチェコビーズだよ」
「瑠璃ちゃんがほとんど作ったんじゃない。
上手になったわねえ。
瑠璃ちゃんは本当に手先が器用だわ」

優しく褒めてくれる澄佳を見上げる。
…美人で優しくて働き者で料理も店の切り盛りもアクセサリー作りも上手で…およそ欠点がないような兄嫁だ。

「ありがとう。
…私、澄佳さんみたいになりたい。
澄佳さんみたいに美人でお料理もアクセサリー作りも上手になりたい」
…だって…そうしたら…。

「え?なあに、急に…」
くすぐったそうに澄佳が涼やかな瞳を細める。

「あと十数える内に出て来なきゃ置いてくぞ。
10、9、8…」
容赦ない涼太の声が響く。
「待って待って!」
瑠璃子は慌てて飛び出したのだ。
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