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恋する真珠
第1章 海と真珠
「…涼ちゃん…!」
瑠璃子が涼太に抱きついた。
「そこまでだ。
十八になるまで、けじめはつけなくちゃな」
涼太はあっさりと瑠璃子を躱すと、軽々と抱き上げた。
「濡れたままだと風邪をひく。
家まで連れていくぞ」
涼太に横抱きにされたまま、涙を溜めた澄佳と眼が合う。
澄佳がほっそりとした白い手を伸ばし、瑠璃子の濡れた髪を撫でた。
「…澄佳さん…」
「無事で良かったわ…。
瑠璃ちゃんに何かあったら…私…柊司さんに顔向けができない…」
「…ごめんなさい、澄佳さん…」
自分はこんなにも心優しい義姉を心配させてしまったのかと後悔の念が渦巻く。

隣に立つ夏実が瑠璃子にそっと耳打ちをした。
「…あのさ、瑠璃ちゃん衝撃の事実を全く知らないみたいやからさ、あとでLINEすんね」
「え?衝撃の事実?」
不思議そうな貌をする瑠璃子を揺すり上げると
「行くぞ。
…夏実、余計なことを言うんじゃねえ」
涼太は夏実をじろりと睨んで釘を刺した。

瑠璃子を抱いた涼太の前に、財前が立ち塞がる。
「…貴方と瑠璃子ちゃんが相思相愛なのは分かりました。
…でも…」
甘やかな…けれど挑戦的な眼差しでにこりと笑った。
「僕は諦めませんよ。
何しろあと四年もありますからね。
瑠璃子ちゃんも今のままじゃない。
…男を見る眼が肥えてくるわけですしね」
むっとしたように眉を顰める涼太から、瑠璃子に視線を移す。
「…瑠璃子ちゃん。
四年後の君に選んでもらえるように、僕は正々堂々と闘うよ」
…今日のところは引き下がるけれどね…。
育ちの良さが漂うお辞儀をすると、すっきりとした後ろ姿を見せながら、財前はその場を後にした。

涼太は肩を竦めると
「ほら、行くぞ。俺も風邪を引いちまう」
とやや戯けたように呟いた。
「…うん!」
…涼ちゃん…大好きだよ。
ブロンズ色の逞しい首筋に抱きつきながらそっと囁いた。

涼太は素知らぬ貌をしながらも、瑠璃子の白く清らかな額に触れるか触れないかの密やかな…けれど愛に溢れた口づけを、与えたのだった。








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