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恋する真珠
第1章 海と真珠
涼太は澄佳が差し出す澄佳のカーディガンを瑠璃子の身体に丁寧に巻きつけた。

…そうして、しかつめらしい貌を作るとぶっきらぼうに大きな手を突き出し、何かを瑠璃子に握らせた。
手を開き、瑠璃子はあっと驚く。
「…これ…!」
…瑠璃子の真珠のネックレスがきらりと輝いていた。

「俺をナメちゃ困る。
俺のお袋は海女だぞ?
素潜りは七歳から仕込まれた。
宝探しは朝飯前だ。
…それからな、親の大切な贈り物を簡単に海に投げるな。
今度やったら尻を叩く」

ネックレスを握りしめながらぽろぽろと涙を零す。
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
俯いて泣きじゃくる瑠璃子の頭を優しくぽんぽんと叩く。
その涙は、がっしりした節くれだった指で優しく拭われた。

…涼太は噛んで含めるように、瑠璃子に言い聞かせる。
「…愛を物で確かめようとするな。
俺はお前をちゃんと好きだ。
…だけど、お前はまだ子どもだ。
俺は子どもには手を出さねえ。
お前が大人になるまでそばにいてお前を黙って見守る。
そう心に決めているんだ。
…だから、もしお前の気が変わらなかったら…お前が十八になったら、俺からプロポーズさせてくれ。
…俺の嫁さんになってくれ…てな」

…そうして、涼太は恥ずかしそうに眼を細めて笑ったのだった。


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