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さすがに無理やろ
第11章 不二子…ちゃん?
すると突然
「ごめんなさい」
と、俺より先に青山さんが
謝ってきた
「何言うてんねん。
謝るんは俺やから」
「いいえ。
葵ちゃんにすごく叱られて
私も反省したので」
「葵ちゃんに?」
「はい。
何も聞かないで
怒って帰るなんてしちゃだめだって。
同じことされて
嫌な思いしたことあるでしょ?って…」
青山さんはそう言うと
俺の顔を見上げて
少し苦笑いを見せた
そんな…悲しそうな顔するなよ
嫌なこと思い出させたみたいで
俺の胸がぎゅうっと締め付けられた
「ほな…葵ちゃんに感謝やな。
こうやって話すことも
もうでけへん思うてたから」
「…そうですね」
あれ?
今気がついたけど
青山さん
さっき会社から出て来た時と
おんなじ服着てるし
髪型もおんなじや
こんな遅い時間やのに
まだ風呂にも入ってないんか…
なんや
ずいぶん
悩ませてしもうたんやな
「それと…
気になることは
ちゃんと聞かなきゃダメだって言われました。
そーゆーの
ちゃんとしないから
誤解したりされたりして
辛いんだよって…」
「せやな…
葵ちゃんの言う通りかも知れへん。
せやけど青山さんの気持ちも分かるで?
聞きたくても
聞かれへんこともあるしな…
あ、せやから
俺の話、先に聞いてくれるか?
ちゃんと説明する。
それから
青山さんの聞きたいこと
全部答える」
そう言って
青山さんの方に身体を向けると
青山さんは
唇にギュッと力を入れてうなずいた
「ほな
水本さんのことやねんけど…」
俺はそれから
水本さんから持ちかけられた相談の内容や
その相談の約束が
青山さんと親しくなる前からということ
それから
その約束をのらりくらりと
避けて来たことを話した
無我に断るのも
しづらい状況で
特に今日は
水本さんが泣きそうな顔してたから
とりあえず約束してしまったと
説明を重ねた
「そういうわけなんやけど
俺はホンマに
水本さんとは何でも無いし
青山さんと付き合いたい思うてるし
今から水本さんに電話して約束断ってもええ。
青山さんの嫌がることは
ひとつもしたないんや。
…俺の話
信じてくれるか?」