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さすがに無理やろ
第11章 不二子…ちゃん?

それから俺と青山さんは
ゆっくり歩きながら
青山さんの部屋へと向かった

青山さんが帰ってしまうのは
寂しいけど
またすぐに会えるから
我慢するしかない

それと
約束してたデートは
もうこんな時間やし
会うのは夕方からということになった

とりあえず俺が青山さんの部屋まで行って
夜になったら
村瀬に行くことになったんや
葵ちゃんに礼も言いたいしな

それからもう一つ

ちょうど
青山さんのマンションが
見えてきた時やった

「それとな
今日はもう遅いから
明日の午前中に
水本さんにはキャンセルの連絡しとくから。
もう心配せんとってな」

「あ、そのことなんですけど」

「大丈夫や。
彼女がスネるから
二人で会うのはあかんて言うわ」

「いえ、あの…」

「ん?」

「水本さんと
会って話を聞いてあげて下さい」

「え?」

「あの…水本さんの噂は
私も聞いたことがあって…
それで悩んでるなら可愛そうだし
その…辛い気持ち、ちょっと分かるから」

「いやそんでも」

なんちゅう
ええ子やねん
というか…
どんな辛い経験してんねん…

「私は大丈夫なので」

…ん〜…
俺はその時
「せやな」
と、すぐに言えずにいた
さっきの水本さんの態度が
気になってたからや
えらい積極的いうか
不二子ちゃん的というか…
とにかく
なんや引っかかってんねん

「分かった。
ほな…ちょっと考えてみるわ」

「はい」

「あ、心配せんでな。
どうするかは
水本さんと連絡取り合う前に
青山さんに
ちゃんと言うから」

「分かりました」

「あ、着いたで。
部屋の前まで一緒に行ってええか?」

マンションの前に到着したけど
俺は
別れを惜しむように
そう聞いてみた

「はい」

ん?
あっさりOKするとか珍しいな
遠慮する思うてたけど

そう思いながら
俺はエレベーターに乗り
ボタンを押す青山さんの後ろに立った

「あの…」

すると
珍しく青山さんが
俺に話しかけてきた

「ん?」

ボタンの方向いてて
青山さんの顔は
見えんままやけど

「これって…現実ですよね…」

現実て…
青山さん
どないしたんや?
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