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さすがに無理やろ
第11章 不二子…ちゃん?
すると青山さんは
俺の腕の中で
小さな声で囁いたんや
「…いいんですか?」…と
「ええに決まってるやろ。
俺は帰りたないねん」
帰れるわけないやろ
こんなままで
放っておけるわけないやろ
こんな青山さんを…。
それから俺は
青山さんと二人で
ソファーに腰を下ろしたんやけど
青山さんは
相変わらず元気がない
無茶苦茶落ち込んでる感じやし
黙ったまんまや
「落ち着いた?」
そう聞いてはみたけど
返事は短く
「…はい」だけ
「…俺から質問してもええ?」
その方が
話してくれそうやし
とにかく
話してもらわんと
なんも分からへんし
「……はい」
「正直に言うてな?
俺の…あかんとこ
教えて欲しいねん」
「え?」
ほんまはそんなこと聞きたないけど
とにかく俺は嫌われたないねん
せやから
「どこが怖かった?」
そう直球で質問すると
「怖いなんてそんなっ」
うつむいてた青山さんが
慌てて俺を見上げた
「新飼さんを
怖いなんて思ってません」
「え、せやけどさっき…」
「それは…」
「それは?」
「あの……それは…」
「ええよ。
いくらでも待つから
ゆっくり話し」
「……」
あぁ…静かやな…
言葉を失った二人を包む空気は
深夜ということもあって
めちゃくちゃ静かで
俺はこの部屋ではじめて
時計の秒針の音を感じていた
なんや
こうしてると
まるで俺が
青山さんのこと
いじめてるみたいやな…
言いたくないこと
無理矢理言わせようとしてるみたいや
まいったな
責めてるわけやないねんけど…
「やめとくか?」
「…え?」
「話したないこともあるよなぁ。
無理に
話さんでもかまへんからな?
俺は…
青山さんに嫌われるんがいやで
聞きたかっただけやから」
「新飼さん…」
「せやけど…
もうちょい
青山さんが元気になるまでは
隣におってもええか?
心配でたまらへんねん。
あ、隣におるだけで
怖がるようなことはせえへんから」
って言いながら
俺の両手の平を見せると
黙ってた青山さんが
少し頬を膨らませて話し始めた
「もう…新飼さんのせいです」
「あ…うん、ごめん」
「優しいから…」
「え?」
「新飼さんが
ものすごく優しいから
だから
離れるのが怖くなったんです」
…ん?え?
離れるのが怖いって
どういうことやねん