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第14章 誤解

「おい、落ち着け安藤。
どないしたんや」

「いくら先輩でも
俺、許せませんから」

「いやいや、せやから
何のことやねん」

「水本さんのことですよ！」

え、何？どーゆーこと？
水本さんて
昨日の水本さんのことか？
いやいや
そんなこと安藤が知ってるわけないし

「ちょ、ちょっと待て」

「水本さん泣いてたんですよ！」

「え？」

「昨日の夜泣きながら
俺に電話かけてきたんです！
新飼さんに
酷いことされたって！」

「酷いこと？
何言うてんねん
俺はなんも」

あっ
そーゆーことか…

俺は
その時気がついたんや
何でも欲しがる
峰不二子が誰なのか

そう
水本さんは噂通りで
男と関係を持ったら貢がせ
すぐにまた乗り換える女やったんや

「安藤」

「なんですか！」

「お前
水本さんと付き合うてたよな」

「はぁ？」

安藤はおそらく
一度は水本さんと付き合うたけど
それからは
ええように利用されてるんちゃうやろか…

「心配すんな。
俺は昨日何もしてないし
何も見てない」

「そんなの信用できません」

せやろな
安藤も
俺とおんなじようなこと
水本さんに
してもろうたんやろうから
そんで安藤は
しっかり
水本さんにハマってもうたんやろうから

「ほんまや。
俺は女おるから
せえへんかった」

「え…」

「お前、分かってんねやろ？」

「な、何がですか」

「水本さんの性格」

「…性格って…」

「なかなか難しい子
好きになってもうたなぁ」

「……」

そう言うと
安藤は黙ったまま
腰が抜けたように
椅子に腰を下ろした