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さすがに無理やろ
第14章 誤解

ええよ
と、答えると
青山さんは
俺から視線を外し
膝の上に置いてある自分の手を
ぎゅっと握りしめた

「あの…」

「うん」

「あの…」

「うん」


「……………」


「俺も聞きたいこと
素直に聞くから
青山さんも
素直に話してええで」


「……

あの…

昨日のことなんですけど…」


やっぱり
昨日のことか…
昨日のことって聞いたら
またちょっと気持ちが沈むな


「昨日というか…

水本さんみたいな人が

……タイプですか?」


え?
タ、タイプ?
なんや急に

「ちゃうで。
水本さんはタイプやない」

ま、まぁ
身体においては
好きな方やけど

「で、でも
やっぱり若い子の方が」

「若すぎやろ」

ちょっと狙ってたこと
あるけど

「でも可愛いですよね
お洋服とか髪型とか。
だから仕方ないかなって。
だからもう
しょうがないかなって。
やっぱり私には無理だったんです。
元々こうなったのも
信じられなかったし
だから責めるつもりはなくて
新飼さんのしたことは
当たり前って言うか
そうなるべくして
そうなったというか」

「え?何が?」

「だから
夢を見てたと思うことにしたんです。
昨日の夜からずっと考えて
そう思うことにしたんです。
だから
もう新飼さんからのお話は
聞きたくなくて」

「ちょっ、青山さん
何言うてんねん」

「新飼さんから
悲しいことなんて
言われたくなくて
だからっ…っ…」

「え?
なんでなんで?
急にどないした?」

「わ、わかってます。
っ…こ、こういうのも
泣くなんて…っう…
とても最悪で…」

気がつけば
青山さんの握りしめた手は
爪の跡が付きそうなほど
硬く握られてて
頬には涙がつたい
そして
白い肌は耳まで赤くなっていた


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