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さすがに無理やろ
第14章 誤解

「と、とりあえず落ち着こ。
大丈夫か?」

青山さんが泣いてんの見たら
さっきまでギクシャクしてたこととか
全部忘れて
俺は咄嗟に青山さんの頬の涙を指で拭い
青山さんを抱きしめた

「ごめん
俺、ユリが言うてること
意味がわからへん。
せやから落ち着いて
それから
ちゃんと全部聞くから
焦らんと…」

「…ダメ…」

「え?」

俺に抱かれると
青山さんは一瞬
俺に抱きついたのに
すぐにその手を解いて
俺を突き放そうとした

「なんでや?
俺のこと嫌いになったんか?
他に男がおるんか?」

つい
口走ってしもうた言葉やった

突き放されそうになって
ちょっとカチンときたんかもしれん
俺は意地になって
青山さんを抱く手は緩めずに
『男がおるんか?』
と、結局
一番気になってて
一番聞きたかったことを
言うてもうたんや

「もっ…やめて…」

そしたら
また青山さんは抵抗して
やめてって言いながら
俺から離れようとする

「なぁ、なんでや?
なんで急に変わってもうたんや
なんでなんや
俺はまだこんなに好きやのに
理由も分からんまま
この手を離されへん」

って言いながら
青山さんを強く抱きしめると
突然
青山さんの身体から力が抜け
囁くような声が耳に届いた

「…どうしよう…
私…
夢だなんて…思いたくない」

「どう言う意味や」

「こんなままじゃダメなのに
新飼さんと
離れたくない…」

「離れんでええ。
なんで離れなあかんねん」

「悲しむから…」

「誰が」


「…水本さんが…」

え?……水本?
なんでここで
水本さんの名前が?
いやいやいや
水本さんとか関係ないやん
どういうことや?

「なんで…
水本さんが悲しむんや?」

あまりに驚いて
俺は青山さんを抱く腕をほどいて
青山さんの顔を覗き込んだ

「だって…」

「だって?」

「水本さんとも…」

「うん」

「…昨日…」

「うん」

「…付き合ってますよね…」

「え?そんなわけないやろ?
付き合うてるわけないやん。
なんでそうなるんや?」

付き合うてる?
昨日?
…タイプ…可愛い…若い…
なるべくしてなった
なった…?
…やった?!
え、もしかして俺
水本さんとやってもうてることに
なってる?!!
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