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さすがに無理やろ
第15章 甘く…切なく
「来たな」

「…うん」

新幹線が目の前に到着し
多くの人が降り
多くの人が乗り込んで行く
その人の流れを
俺とユリは
手を握りしめたまま
ただボーッと見つめていた

どちらも腰をあげようとせず
どちらも
手を離そうとしない

手を離すどころか
もっと強く握りなおし
そして
目の前の新幹線のドアは閉まり
…走り出してしまった

「ユリ…」

「……」

「一緒に住もか」

「……」

「最初は週末からでもええし
新しいとこ探してもええ
俺の部屋は狭いから…」

「新飼さん」

「ん?」

「そんなことしたら
もう…
別れにくくなるから…」

「別れるん前提?」

「いえ…その…
私、社交的じゃないし…」

「うん」

「友達少ないし…
歳上だし
面白い話なんてできないし
会社では
変わってる人だし」

「なぁ」

「……」

「俺の好きな女の子のタイプはな」

「……」

「社交的やのうて
沢山友達はおらんけど
すごい仲ええ友達が一人おって
会社ですごい真面目で
変わってる言われてて
面白いこと言わへんけど
時々しどろもどろになってな
それが俺は好きやねんけど
そんでな
歳上な女が好きやねん」

「新飼さん…」

「一緒に住も」

「……うん」

そう言うと
ユリは俺の肩に頭を預け
そして俺は
ユリに一瞬だけ
唇を重ねた

「バカップルやな、俺らも」

「…うん」
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